薬舐太郎ブログ

興味を持ったことを自由に書いていくブログになります。 それでも、情報源明記・根拠等を大切にしたいと考えています。

健康的なダイエット方法について考える

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テーマ 最善のダイエット方法とは何か

 

 

最初に


ここで取り扱うダイエットは、疾患がなく、異常な検査値がBMIの他にない人を対象としています。
そのため、容姿などを目的として、やせ型でありながら、さらにやせることを目指したり、普通体重に分類されるが、やせ型を目指したりだとか、そういった方々は特にターゲットにしていません。
目的はあくまでも、健康体を目指すことにあります。
後述するBMI指導において、肥満(3度)以上である人もターゲットにしていません。
肥満(3度)ともなると単純に減量すればよいという話ではなく、医師指導の下で、必要に応じては入院等をして、心臓の状態や、精神的な状態を考慮して適切な管理のもと行う必要があります。



1.正しく現在の状況を知る。

 ヒトの肥満度を表す体格指数は、ボディマス指数〔通称BMIBody Mass Index)〕となります。
BMI=体重÷(〔身長〕×〔身長〕)
※体重【単位:㎏(キログラム)】身長【単位:m(メートル)】
BMIの指標は以下のとおりとなっております。


BMI
18.5未満   低体重(やせ型)
18.5~25未満 普通体重
25~30未満  肥満(1度)
30~35未満  肥満(2度)
35~40未満  肥満(3度)
40以上    肥満(4度)
22が理想のBMI

ここでは、計算例として身長170cm、体重73㎏の男性を想定しています。
BMIの計算式に当てはめますと、
BMI=73÷(1.7×1.7)となります。
BMI=25.3
ここで注意して頂きたいのは、身長の単位がcmではなく、mになっていることです。
cmをmに直す際に÷100を忘れずにお願いします。

肥満症の治療がなぜ困難か(要因)
※肥満症ガイドラインより一部引用
1.食べることがストレス解消の一手段となっている。
2.一度見についた生活習慣の是正は容易ではない。
3.肥満者は一般に寡黙で訴えが少なく、信頼関係を築きにくい。
4.他の疾患に比べて治療効果が出にくい。


2.脂肪について知る、減量にかける期間と目標


減量にかける期間と目標の話をする前に、まずは脂肪というものについて知っていただくために、
リンク【大塚製薬 発見!脂肪組織の働き】をご覧いただけますと幸いです。
※確認しなくても大きな問題はございません。
疾患リスクを軽減するために適度な体脂肪が大切であることが記載されております。

【目標設定】
リバウンドのリスク軽減と健康への影響を考えて、通常一カ月の間に落とすのは現体重の5%までにします。
(急激な体重の変動は心血管イベントのリスクがございます)
前項目で例に挙げた身長170㎝、体重73㎏の男性がBMI22を目指す場合、標準体重は公式に代入して63.5㎏となります。
BMI←目標の22を代入=体重÷(〔身長←1.7を代入〕×〔身長←1.7を代入〕)
22=体重÷(1.7×1.7)
(理想の)体重=63.5
一カ月間に現体重の5%までの減量になるので、現在の体重73×0.05(5%)=3.65kgとなります。
一カ月に3.65kgということは、現在の体重73-63.5=9.5㎏ほどの差があるため
9.5kg÷3.65=2.6で必要最低期間がおおよそ2.6カ月になります。
個々のケースに合わせて目標設定をしてください。


3.取り組み方法

 ●体重の記録
体重の日内記録表(ネットで検索するとフォーマットが入手可能です。)を利用して記録を取ります。
通常、体重は最も朝が減り、夜間は約0.5~1.0㎏増加して最も重くなります。
何をどれくらい食べればどのくらい増え、またその逆も自然と理解出来るようになります。
自分の行動観察ができるようになり、食生活の工夫も可能になります。
原則、1日4回測定が推奨されていますが、困難が予想されるため、朝・夕の1日2回でも可能です。
結果をグラフ化することで、その変動要因をたどることが出来ます。

●食事
肥満治療食は、エネルギー制限が基本です。
ただし、筋肉量を減らさない、代謝活性を落とさないようにする必要があります。
そのために、タンパク質をしっかり摂取し、窒素バランスが負にならないようにするとともに、各種ビタミン、ミネラルも欠乏することがないように摂取する必要があります。

方法として、調整食(フォーミュラ食)を利用する手もございます。
記事が長くなりますので今回は簡単な説明のみにさせて頂きますが、エネルギー成分(糖質、脂質)を極力減らし、タンパク、ビタミン及びミネラルは1日必要量を3袋で摂取できるように調整されたパウダー状のものを水に溶かして服用するものです。
こちらを普段の食事と置き換えます。
1日3食を全てフォーミュラ食に置き換える(超低エネルギー食療法)もありますが、行う際には医師のもとで行って下さい。
1日1食の場合は一般に、最もカロリーの高い夕食をフォーミュラ食に置き換えるのが望ましいとされています。

1日のカロリー設定方法
最大許容摂取エネルギー(1日あたりのカロリーの上限)は、基礎代謝〔体重×25kcal/日〕を基準として、運動量に応じて、体重×40kcal/日までの間で設定します。
ただし、肥満者の場合には現在の体重をかけると、摂取過剰となるため、減量出来ません。
これらを参考に、1000~1800kcalの間から実施可能なレベルの食事を選びます。

例 身長170cm×体重73㎏の男性なら
BMI=体重÷(〔身長〕×〔身長〕)
BMIに22を代入して計算すると
標準体重63.5㎏
63.5×25=1587 約1600キロカロリー

他の計算方法として、現在の1日摂取エネルギー(現在の1日でとるカロリー)を調べて、そこから、例えば700kcal減らすとすると、700kcal÷7kcal(1gの脂肪を減らすのに必要なカロリー【熱量】)=100gとなり、1日で100g減らすことが可能になります。
遵守できれば、計算上は1カ月に約3キロ減量できることになります。
例 毎日2100kcal摂取していて体重が安定している場合、1日あたり1400kcalに減らせば月3キロ減量を期待できる

公式 減らす1日あたりのカロリー数÷7kcal=1日あたりに減少する体重量(g)

『補足』1gあたりの脂肪組織を7kcalで計算する理由
正確な熱量は、タンパク質と炭水化物は1gあたり約4kcal、脂質は1gあたり約9kcalとなりますが、実際には脂肪のみが燃焼されることはないため7kcalで計算します。

タンパク質について
ダイエットすると筋肉が落ちるという話を度々耳にする機会があるかと存じます。
それは、摂取するタンパク質が減少してしまったためにタンパク異化が主な原因です。

『補足』タンパク異化とは
文字のとおり、体内のタンパクが分解され他のものに形を変えるということです。
タンパク質は新陳代謝に利用されるため、不足すると最初は髪や爪が荒れ始め筋力が衰えます。
最後には各臓器の機能が低下します。

上記のタンパク異化が起こることがないように、減量中のタンパク質は最低保持量を設定します。
基本的には、1日あたり標準体重×1gが必要です。
筋肉量を減らさないためにはさらに適度な運動を加えることも大切です。
例 標準体重63.5㎏なら63.5gが最低保持量
(標準体重1kgあたり1.0~1.23を確保する)


食事を減らすとともにビタミン、ミネラルが不足しないために摂取する方法
緑黄色野菜、海藻、種実類、キノコ類、肉類、魚類、豆類、卵類→鉄、亜鉛、銅、マグネシウムマンガンモリブデン
牛肉、豚肉、青魚、貝類→ヘム鉄、亜鉛、鉄、銅類
を意識する。
1.タンパク質を1日70g以上、特に赤み肉、青魚をとる。
2.緑黄色野菜は最低1日100g以上とる。
3.海藻、キノコ類、種実類を1日1回とる。

『補足』単品ダイエットについて(肥満症ガイドラインより引用)
有効ではありません。りんご、バナナ、ヨーグルトなど特定の食品ばかりを食べる単品ダイエットが望ましくない理由は、単品で必要な栄養素を十分に備えた食品は存在せず、長く続けると、ビタミン、ミネラル、あるいはタンパク質の欠乏症に陥るからです。

『補足』絶食療法について(肥満症ガイドラインより引用)
絶食療法が行われたことがありましたが、その後、心筋障害を起こすリスクが高いことが報告されており、極めて危険ですので、決して行ってはなりません。

●運動
減量には、運動療法よりも食事療法のほうが効果が高いです。

エネルギー学的に考えると、基礎代謝を維持するために1日、1kgあたり25kcal必要になります。

1日の歩数で考えると、通常の1日の消費されるカロリーが考えやすいです。
消費エネルギーと身体活動量との関係は、身体活動量を歩数で比較すると以下のとおりとなります。


1日5000歩以下→25-30kcal
1日5000~10000歩→30-35kcal
1日10000歩~15000歩→35-40kcal

毎日4000歩移動する体重63.5㎏の人が1日に消費するカロリーは、63.5×25kcal[表より]=約1600キロカロリー1日で消費すると考えられます。それ以上のカロリーを取れば太り、少なければ痩せます。

運動で消費するカロリー
運動で消費するカロリーを求めるには通常METSを用います。
METSを用いた消費カロリー推定値は以下のようになります。
公式
消費カロリー(kcal)=METS×運動時間(単位 時間)×体重(㎏)×1.05

METS表
速足4.0
水泳8.0
軽いサイクリング4.0
ゴルフ3.5
軽いジョギング6.0
ランニング8.0
軽いテニス7.0

この式の「METS」というところに上の表のMETSを代入します。
運動時間のところは「分」ではなく、「時間」になっていますのでご注意下さい。
つまり30分の運動なら0.5です。
運動時の消費カロリーではなく、安静時のカロリーを求める場合には1を代入してください。

例 体重60kgの人が、0.5時間(30分)軽いジョギング(6METS)を行う時の推定消費カロリーは
消費カロリー(kcal)=METS(6を代入)×運動時間(0.5を代入)×体重(60を代入)×1.05
消費カロリー=189kcal

この式からもわかるとおり、体重60キロの人が、食事のカロリーを変えずに運動療法のみで月3キロの減量を目標に、毎日700kcal消費するためには、軽いジョギングを1.85時間続けなくてはならないことがわかります。
計算式
消費カロリー(700を代入)=METS(6を代入)×運動時間(Yを代入)×体重(60)×1.05
Y=1.85時間

それだけの時間平日・休日問わず続けることは、少なくとも私にとっては現実的でないので食事を変える方が早いと感じられます。


まとめ


いかがでしたでしょうか。

最初から最後までお付き合い頂いた方は少数だと思われますので
まとめますと
食事を変えずに運動のみで痩せるのは難しいので、筋肉量を減らさない程度の適度な運動をして、絶食や単品ダイエットは行わず、タンパク質、ビタミン、ミネラルを意識したバランスの良い食事を心掛け、摂取カロリーの制限を行い1日2回の体重記録もして、変動の要因を考える。
そうやってダイエットしてくださいね!という話でした。

 

お読みいただきありがとうございました。